ある地下帝国の話
すごい人とすごい人がいた
2人は手を組んだ
その業界にいる者なら誰もが知る
大きな大きな大会に2人は出場した
圧倒的なまでの断トツ優勝
2人の強さはあまりにもかけ離れていて
足下にすら及ぶ選手はいなかった
そのあまりもの圧倒的な結果は地上に漏れ
地上の者をも地下帝国に呼び寄せた
地下帝国は認められた
地下帝国は受け入れられた
この華やかな結果を残し大会は幕を閉じた
それから月日が経ち
ある声が上がった
「優勝者の片方はイカサマを使った」
地上の者が一層地下帝国へ流れ込んでくる
どういうことだ
どういうことだ
問い合わせが殺到
検証会議勃発
真偽が明かされる事はなかった
イカサマを訴えられた彼の名声はここで堕ちる
姿を変え彼はさらに深い深い地下へと身を潜めた
残る片方は彼について行きたかったが
そうすることができなかった
残る片方は地上に引きずり込まれたから
引きずり込まれた彼の栄誉はうなぎ登り
大会に出てくれ
私の元で働かないか
優しい彼は断れない
今まで変わりに断りを入れてくれた相棒はもう隣にいない
彼が地下帝国生まれだと言うことを知る人はわずかとなった
残された地下帝国の多くの者は居場所をなくした
居場所を失った彼らは
人のいない世界を求めて
地下帝国を地上人に譲った
懐かしいな
あたしゃこの大会のころに戻りたいよ
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